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「リュウ&コウシリーズ(BL・完結)」
素描

素描20 ただ愛しくて

 ←師走も半ば・・・ →まだまだ続くよ「リュウ&コウ」
ベッドのヘッドボードに背を預け、ベッドの上にぐったりとうつ伏したままのリュウの髪の毛の中に手を差し入れ、ゆっくりと梳くと、物憂げに彼が頭を上げた。
瞼に深い二重のラインが刻まれているままなのは、まだ体の中に熾き火のような快感が燻ぶり続けているからだろう。
先ほど冷蔵庫から取り出してきた冷たいミネラルウォーターを口に含み、口移しに飲ませれば、喉を鳴らして飲み込む。
2度、それを繰り返すと、3度目は首を振るのでコウは自分で飲み下した。
そのコウを見上げ、リュウは小さく口を開いた。

「コウ・・・、何かあったのか?」
「どうして」
「だって、お前・・・」
「別に何もない。ただ、こうしたかっただけだ」
「・・・あら、そ」

リュウには珍しく軽口を装った返事になったのは、コウの返事に少々不快になったからに違いない。

コウは薄く微笑んだ。
なにしろ、「ただいま」とドアを開けたら、たまたま目の前にリュウが立っていて、「ああ、お帰り」と、朗らかに迎えてくれたのだ。
そのリュウの笑顔を見た途端、コウは体中の血が逆流するほどに舞い上がり、有無を言わせず自室に引っ張り込むとベッドの上に押し倒したのだから。
そのいきなり沸き起こってきた衝動を言葉で説明など出来るものか。
そのほとばしるような激流を抑え込むには、フィジカルな接触しかなかった。
だから、リュウを力で抑え込んだ。

リュウは最初こそ抗ったが、いきなりのコウの行動に何か屈託が隠されているとでも解釈したのか、ありがたいことにすぐにコウのペースに巻き込まれてくれた。
最後にはほとんど気を失うほどにコウをしっかりと受け入れてくれるのはいつもの如く。

彼が手にしていた着替えはベッドの下に放り出されたままだ。
多分、リュウも帰宅したばかりで、シャワーでもしようと思っていたのだろうと、今になってコウは推察する。

でも、構うものか。

ただ、リュウの顔を見た途端、リュウが朗らかに「お帰り」と自分を迎えてくれた途端、自分を抑えきれなくなった、それだけのことだ。

今、またベッドにうつ伏せたリュウの髪の毛をやさしく撫ぜながら、切ないほどに思う。

愛していると。

「リュウ・・・、動けるか?」
「なんとか」
「シャワーしようか」
「ん・・・」

とは返事をしたものの、リュウはまだつらそうだった。
支えて隣のバスルームに入り、バスタブの中に座らせると、彼はバスタブのヘリにその頭を預けた。

「このままシャンプーしてやろうか」
「床が濡れる」
「構わない、ついでに掃除をするよ」
「どうだか・・・」

まるで信じていないリュウを気にも留めず、コウはシャワーを手にするとコックをひねった。
リュウは片膝を立て、もう一方の足だけ伸ばし、頭だけ少しかしいだ姿勢でバスタブに体を預けている。
180の男が二人でじゃれあえるようにと、コウはこの部屋を借りた時にオーナーに無理を言ってバスタブだけは大きなものに交換してもらった。
今、リュウがゆったりと横になっている姿を見て、自分の判断は正しかったのだとコウは思う。

リュウの体にシャワーの湯をかけながら、そののばされた首筋に唇を寄せると、喉の奥で声が生まれるのを感じる。
バスタブから落ちる長い髪の毛を束ねるように顔を仰向けにして、目を閉じたリュウにくちづける。
その唇に小さく微笑みが浮かぶと、やっと安心したようにコウは顔を離した。

自分はタイルの床にひざまずき、リュウの頭を洗う。
彼は目を閉じたままだ。

タイルに押しつけた膝小僧が痛いが、今、目の下のリュウの表情の方が、よほどしんどそうだと思うと、かなりつらいことを彼に強いてしまったかと、つい先ほどまでの時間を反芻するが、いつもとさほど変わりはなかったはず・・・と思いなおす。
まぁ、気が急くままにまだ緊張を解いていなかったリュウを背後から襲い、確かに少々あわただしかったかもしれないが…。

「リュウ」
「ん?」
「俺・・・、お前に無理させたか?」
「・・・いや・・・。黙ってシャンプーボーイしてろ」

コウは口を閉じてリュウの髪の毛を洗うことに集中した。
リュウは黙ってコウの手に自分の頭を委ねている。

コウは10本の指先にほんの少し力を込めて、リュウの頭をマッサージするように洗う。
微妙に力加減を変えながら指先と指腹でリュウの髪の毛を撫で、耳の下を押すようにして愛撫すると、いつもと同じ安堵したような吐息が零れた。

「お客様、どこかかゆいところはございませんか」

おどけて言うと、リュウはふふんと鼻で笑ったが、けれど何も言わない。
ただ、口元の微笑みが消えないので、満足しているのだとわかる。
瞼がかすかに震え、陶酔している表情を見ていると、このまままた抱いてしまいたいという衝動を耐えるのに苦労する。

バスタブの中に置いてあるシャワーノズルから吐き出される湯が、少しずつリュウの体を包み込んでゆく。

「リュウ・・・イきそうか?」
「イってもいいか?」
「・・・いいぞ」
「遠慮しておく」
「遠慮しなくていいってば」
「・・・ベッドの中がいい」
「もう一度?」
「・・・ん・・・。今夜は勘弁しろ」
「つまんね~な、お前。
なんかさぁ~、一度はじけ飛ぶとすっごくわがままで貪欲で、こっちがたじろぐほどだってのに、自分を取り戻しちゃうとストイックだよな、Mr.節度ってあだ名、進呈しようか?
お前みたいなのをむっつりスケベっていうんだよな、きっと」

ぼやいていると、急にリュウの目が開かれた。
ぎょっとたじろぐと、リュウの腕が伸びてきてコウの頭を捕え、そのまま引き寄せられる。
最初から噛みつくようにくちづけされて、コウは思わずリュウの頭をつかんでいた指に力を入れてしまう。
けれど、リュウはコウの頭を引き寄せた両手の力を緩めようとはしなかった。

いつになく情熱的なくちづけに溺れそうになりながら、けれどあまりの息苦しさに強引に顔を離すと、リュウがからかうような目をして見上げている。

「これでもストイックか?」
「・・・お前・・・」
「コウ。いつでも僕はお前がほしいと思う。
でも、僕たちの時間は限られていて、そして、いつもお前の方が僕よりも熱くて、僕がお前を求めるよりほんの少しだけ先に僕を抱き寄せてくれる。
だから、僕はお前のペースに巻き込まれていたいと思う。
それだけで僕には十分だから」

リュウの頭の上から、顔を覗き込むような姿勢をとらされたまま、コウはかすかに唇をわななかせた。

「リュウ」
「これで満足か?」
「・・・あ、ああ」

リュウは、うっすらと微笑みを浮かべてコウを見上げていた。
ふわりと自分の頭を捕えていた両手が外されて、コウは自由になる。
バスタブの縁に頭を預けたまま、まだ、どこか信じられないような表情をしたコウを見上げていたリュウは、はじけるように笑い出した。

「コウ、お前、すごく間抜けな顔してる。ほら、仕事しろよ、シャンプーボーイ。
泡が弾けてるぞ」
慌てて指を動かすと、リュウが満足げに目を閉じた。

「リュウ」
「ん?」
「・・・お前ってさ、男たらしだよな」
「なんだよ、それ」
「いいよ、わかんなくてもさ。お前は俺のそばにいればいい」
「ん」

もうバスタブの中の湯はリュウの腰辺りで揺らめいている。
その湯の中からシャワーコックを持ち上げ、リュウの頭にかける。

「目と口を閉じていろよ」
「ん」

彼の髪の毛から泡を洗い落としながら、その飛沫を自分の体に受け、コウは目を閉じてやや喉を反り気味のリュウの顔を見つめた。

リュウの熱はいつも体の奥底に秘められたまま。
時にふいにその炎が燃え上がり、コウを焼きつくそうとする。
その炎の大きさに自分自身戸惑っているのがコウには感じ取れるのだが、コウの腕を離れるとすぐに白々とした表情に戻ってしまうので、そのギャップに落胆するほどだ。

「リュウ」
「なんだよ」
「明日、忙しいのか?」
「うん、相変わらず。チーフが走りたがっている」
「走る?」
「そう、何を考えたのか、イ・ミニョンssiとコラボして住宅を手掛けるらしい。
あの人はよく分からない。
もっとも、住宅といってもかなり大きいらしいんだけれど・・・。
で、そこの調査。
測量士やミニョンssiと一緒に、周辺環境とか風通りとか光の加減とか。
住宅街だから周辺環境との調和はもちろんだけれど、周りからは十分にプライバシーが守られた状態で、家の中にいても四季を通して光と風や自然を感じられる住まいがいいとかで・・・。
チーフは張り切っているし・・・。
でも、あれは、ミニョンssiから申し入れられたことが一番うれしかったみたいだな。
ほかの建築士からの仕事だったら、鼻の先であしらって断ってるよ、きっと。
ミニョンssiもチーフの扱いはよく分かっているから、ちゃんとチーフの自尊心をくすぐったし、チーフはチーフでそのミニョンssiのおだてに乗ったふりしているし…。
あの人たちはお互いに面白がってるね、自分たちの関係を」
「リュウ。ヨンスssiってさ、お前のこと愛してるよな」
「なんだよ」
「彼が妻帯者でよかったよ。じゃなかったら、俺、絶対にお前をやめさせていた」
「・・・ばぁ~か」

コンディショナーで髪の状態を整えると、コウはスポーツタオルで丁寧にリュウの頭を包み込んだ。

「お前をお姫様だっこできないのが残念だ」
と、ぶつぶつぼやくコウを相手にしないで、リュウは先にコウのベッドルームに入る。
どうせ、今夜は放してくれないだろう。
それなら先手を打ってしまうに限る。

まさかいきなりコウに組み敷かれるとは思ってもいなかったが、これ以上は許さない。
今日は朝から頭痛がひどく、今は快楽よりも眠りがほしい。
けだるい体をシーツの上に横たえれば、先ほどは気にならなかったコウの匂いが立ち上ってくる。
その嗅ぎ慣れた匂いに包まれると涙が出るほどの安堵する自分をみつけ、リュウはそんな自分をいとしいと思う。
時に直接肌を寄せ合えない夜でも、ここにいればコウを感じていられるのだと改めて思い、リュウは眼を閉じた。

「コウ、先に寝るぞ」
「俺は少し資料を読んでからにする」
「ん・・・、おやすみ」

コウが明かりを消したことをまぶたに感じながらも、リュウはそのまま寝息を立てた。

リュウが驚くほど早く眠りの中に入っていったことを知り、コウはどこか裏切られたような気持ちになった。
確かに時計はもう午前1時を回ろうとしている。
振り返れば、帰宅したときには既に11時だったのだから、当然といえば当然だが。

暗闇の中、音をたてないようにしてブリーフケースを取り上げ、けれど、コウはドアノブに手をかけたところで動きを止めた。

そして、ゆっくりとデスクの椅子に腰をおろす。

暗闇に慣れた目は、緩やかに寝息を立てるリュウをみつめる。

こちらに背を向けて眠っているのは、必ずコウがその背後から抱き寄せることを知っているからだ。
自室で眠るとき、リュウは健康な男性らしく仰向けになっているのをコウは幾度も見ている。
けれど、こちらで眠るときは無意識にコウを待つ姿勢で眠るリュウを、コウは時に腹立たしく思うほどだ。

なんとたくましく、なんとおおらかで、なんと憎らしい背中だろう。

それは、いとしさの裏返し。

その深い眠りの中にいるリュウを、安穏な眠りの中から引きずり出し、苛んで苛んで、憎しみに近い視線で睨みつけられたらどうだろうと思う。
「いつもお前の方が僕より熱い」とリュウは言うが、それはどこか違う。

いつも自分の気持ちの熱さに感情を軋ませているのはリュウの方だ。
そのままぶつけてくれればいいのに・・・と、幾度となく繰り返してきた望みを心の底に押し込め、コウはリュウの背中から視線を外せない。

視線だけで人が殺せるのなら、リュウはとっくに死んでいるな・・・と、自分を笑い、コウは椅子の上で力を抜いた。

自分よりもリュウの負担が大きいことは分かっている。
いつも先に火をつけるのはコウだが、一度堰を切るとリュウの欲望は果てしなくなる。
貪婪にコウを喰らいつくそうとでも言うように、すがり、しがみついてくる。

そんなリュウをみつめながら、コウはいつも思う。

リュウの中で、苦痛と快楽は紙一重なのだと。

こらえきれずに声を上げ、コウの背中に爪を立てながら、リュウはいつも辛そうに眉をひそめている。
のけぞる喉は震え、のばされた手はいつもコウを求めてさまよっている。

コウを求めながらも、時にコウの手を逃れようとしているリュウを抑えつけながら、その最奥まで穿たないと安心できない自分を、時々疎ましく感じることさえある。

けれど、愛さずにはいられない。

コウは手にしていたブリーフケースをデスクの上に置くと、ゆっくりとした動作でTシャツを脱ぎながらベッドに膝をつく。

「リュウ」
先ほどからみつめていた背中に指を置き、背骨にそって走らせれば、びくりと彼が体を震わせたのが分かった。

「リュウ」
「な・・・、コウ」

まだ醒めきれないまま、振り返ったリュウにくちづける。
「さっき、ベッドの中がいいと言っただろう?」
耳元で囁くようなコウの言葉が理解できず、リュウは首筋に触れてくる指を抑えて、掠れた声で制する。
「止せ・・・、眠りたい」
「駄目だ、眠らせない」
「どうした・・・、あっ・・・つ、止せ!」

まだ頭の中は朦朧としていて、コウの動きがうまくつかめない。
首筋を舐め上げられて、頭よりも先に体が反応してしまう。

「や・・・、コウ。何考えてる」
「何も。ただ、お前を抱きたい」

執拗に体を寄せてくるコウの熱に煽られ、やっとリュウははっきりと自分が陥りそうな状況を把握した。
「駄目だってば。明日も早い。このまま寝かせてくれ」
「いやだ。お前の背中見ていたら、我慢できなくなった」
「何、バカなこと、うっ・・・」

揶揄するような視線を向けながら、コウの指がリュウの弱いところを的確にとらえていた。
せっかくシャワーで冷ました熱がまた腰の辺りから広がってくる。

「コウ、駄目だ。眠りたい」
「いくら言っても無駄だ。本当に嫌なら殴ってみろ」
「コウ!」

突き飛ばそうとした腕を逆につかまれ、軽々と体を返されてしまう。
背後から抱きすくめられて、うなじにくちづけされると、自分の意に反して背筋が泡立つような快感が走る。
眠りたいのに、疲れ切っているのに、コウに触れられるとたちまちに熱をはらむ自分の体が、今夜だけは疎ましい。

「リュウ、じたばたするな。諦めろ」
「何言って・・・、コウ!」
「リュウ、俺は今日、すごく嫌なことがあったんだ。
つらくてしんどくて悲しくて。だから、お前が抱きたい。
お前の中でそんな汚い感情を昇華させたい。
お前を抱いていれば、俺はきれいなままでいられる。だからお前が抱きたい」
「そんなこと、さっきはお前、一言も・・・」
「さっきはさっきだ。今は、お前を抱いてすべてを忘れたい!」

たたみかけるように言われて、まるでわけが分からなくなったリュウは振り返ってコウの顔を見た。
けれど、コウはそんなリュウの顔を、にやりと笑って見下ろしている。

「・・・って、言ったら、素直に抱かれてくれるか?」
「コ・・・!!」

抗議の声はくちづけに飲み込まれる。
拒否しようと逃げる舌を絡めとられ、口の中を傲慢にかきまわされ、そのまま翻弄される。

一体、何があったのか、リュウは戸惑うばかりだった。

さっきは穏やかに「おやすみ」と言ったのに。

まだ湿ったままの髪の毛をつかまれ、頭をしっかりと抑え込まれ、リュウは身動きができない。

自分でも分かっている。
このままではコウの思い通りになる。
早く離れないと望まないまま、また欲望の波に飲み込まれてしまう。

けれど、心も理性も裏切って、体だけは正直にコウの動きに反応していた。
そのあまりの素直さに赤面するほどだ。

コウはそのリュウの反応を楽しんでいる。
戸惑い、拒否しながらも、またコウを受け入れようとしているリュウを舌なめずりするような表情で眺めている。

「コウ、止め・・・」
「止めない。俺はお前がほしい」
「何、何があ・・・」
「愛しているだけだ。俺はお前だけがほしい」

コウの言葉の中に何か切羽詰まった響きを聞き取り、リュウは一瞬、抗う力を緩めた。
コウがリュウの心の動きを敏感に察し、また嬉しげに笑った。

パン!とリュウの中で何かがはじける。
もう、諦めるしかないと、リュウは思う。
理性を手放すと、あとはただ激情に流されていくだけだ。
ただし、かなりの快感とともに。




光のまぶしさに幾度か目をしばたいて、リュウはゆっくりと目を覚ました。
昨夜は髪の毛を十分に乾かさないままだったので、まだしっとりと湿り気を帯びたまま枕の上にあった。

背中にはいつもの寝息が優しく当たっている。
ベッドを軋ませないようにゆっくりと寝がえりをうつと、コウが傍らで丸くなって眠っている。

その子供じみた寝顔がかわいらしくて、リュウは思わず腕をのばして彼を包み込んだ。
よほど深く眠っているのか、彼はまだ目を覚まさない。
当然だろう。
つい数時間前まで、コウはリュウを面白いように翻弄していたのだから。

リュウはコウの体にまわした腕に力を入れた。

なんてヤツだと今更ながらに思う。
いっそのこと、ここで首でも締めてやろうか。
まだ体の中にはとろりとしたけだるい感覚が残っている。

いい加減、うんざりとしながら、けれどリュウは腕をほどけない。

ただ、いとしくて。

愛に理由は要らないと誰かが言っていたが、確かにそうだと思う。
これほどに唖然とし、うんざりとし、ときには腹も立つというのに、抱き寄せられたらすべてが「愛」という言葉に置き換えられてしまう。

コウのそばにいたい、コウに愛されたいという願いは、常に後ろめたさと背中合わせ。
お互いに同性を好むと断言できるわけではなく、1年前にコウから告白されなければ、多分、今頃二人ともそれぞれ女性の恋人と一緒だっただろう。

なのに、今、あまりの切なさに大声で泣いてしまいたいほどにコウがいとしいと思う。
その強い衝動に耐えることが困難なほど、コウがほしい。

「りゅう?」

無意識に力が入っていたのか、驚いたようなコウの声が、それでもくぐもったまま胸のあたりで響いた。
パジャマ代わりのTシャツが、その部分だけ急に暖かくなってくすぐったい。

「どうした?」
「なんでもない、ただ、お前を抱いていたいなと思っただけだ」
「朝から俺を刺激するな。昨日、何度もイっただろ。あれで満足しろよ」
「十分だよ、もう。ただ、こうしていたいだけだ」
「あ~~~、さすがリュウ君。お前はご清潔だ」

あはは・・・と、コウの頭の上でリュウが朗らかに笑った。
リュウの胸の中でその笑い声が響いて、無理やり抑えつけられている耳に心地いい。

「リュウ」
「ん?」
「お前、本当にイイ男だ。俺、絶対に離さない」
「・・・望むところだ」
「んじゃ、朝のコーヒーはお前が淹れるということで」
「・・・了解」

軽くくちづけてリュウは起き上がった。

「あと30分寝かせろ」

また毛布の中にもぐりこんだコウを見下ろし、リュウはコウの部屋を後にした。





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